原因は、細菌やウィルスなどの病原微生物の感染であり、かぜの80%はウィルスによるものです。これらのウィルスは、飛沫感染といって、くしゃみや咳で唾液が飛び散ったとき人から人へとうつります。
細菌には、抗生剤を処方します。
ウィルスに効く薬は、一般的にはありませが、かぜによる免疫低下で細菌の二次感染が起きることがあり、必要に応じて抗生剤を処方します。
対症療法が主体となります。 安静と休養を心がけ、体の自然治癒力を損なわないようにしましょう。
原因は、インフルエンザウイルスが鼻や口から侵入し、上気道粘膜上皮細胞に感染します。
高熱、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛、咳などが出現してまれにインフルエンザ脳症、肺炎、心筋炎などが起きる事があります。
A型とB型がよく流行を起こします。
季節的には主に冬に流行します。診断は迅速診断キットにより80~90%診断可能。
治療は、AB両型に有効なオセルタミビル(タミフル)、ザナビル(リレンザ)、ラニナミルオクタン酸エステル(イナビル)が使用されています。
インフルエンザワクチンが予防で使用されてます。
原因はウィルス(ヘルぺスウィルスの一種)の感染後、約10日して発病します。
生後3ヶ月から1歳過ぎまでの赤ちゃんに多く、生まれて初めての高熱になることが多いです。
急に高い熱を出し、約3~4日間続き、熱が下がったあと顔や体に赤い発疹ができます。
発疹は、約3日ぐらいで消えますが、便がゆるくなることになったり、高い熱の時、ひきつけを起こすことがあります。また、大泉門が盛り上がることもあります。
ウイルスが2種類あり、2度がかりする事があります。
原因は麻疹ウィルスが空気・飛沫・接触などにて感染して、10~12日後に発病します。
最初は発熱で発症します。発熱期には咳・鼻水・結膜炎症状が強く、感染力が一番強い時期です。3~4日間高熱後いったん解熱傾向を示しますが、その時耳後部付近から赤い発疹が出現して、1~2日の間に口の中に白い斑点(コプリック班)で出ます。その後また高熱が出現して、全身に発疹が広がります。数日間は高熱が続き、赤い発疹はしだいに暗褐色の色素沈着を残し、1週間ほどで消えていきます。
熱が下がって3~4日間したら日常生活に戻しても良いでしょう。
約10%に肺炎や中耳炎をもたらし、約0.1%に脳炎を併発させる確率があります。
1歳を過ぎたら早めに予防接種をしておくことが大切です。
ワクチンを打つまえにはしかの子と接触したら接触後48時間以内なら麻疹含有ワクチンを接種したり、接触後5日以内なら、ガンマグロブリンの注射することにより発病を防いだり、軽症化することも可能です。
風疹ウィルスがのどや鼻から入り、約2~3週間後に発病します。
熱がでると同時に赤くて小さな発疹が全身に出ますが、3日ほどで消えていきます。
主に首のリンパ腺がはれます。熱は、まったくでない子から3日間ほど高熱の出るこまで様々です。
発疹がなくなれば、日常の生活に戻しても良いでしょう。感染しても症状の出ないこともあります。
まれに血小板減少性紫斑病や脳炎などを合併することがあります。
妊娠初期の妊婦が風疹ウィルスに感染すると胎児が風疹ウィルスに感染し、難聴、心疾患、白内障、精神運動発達遅滞等の先天性風疹症候群児が出生することが知られており、厳重な注意が必要です。
ムンプスウィルスが唾液を介した飛沫感染により、喉や鼻から入って,約2~3週間後に発病します。
耳の下の唾液腺(耳下腺)が腫れて痛む事が多く、ときに顎の下の唾液腺(顎下腺)が腫れることもあります。
片側だけのこともあります。約1週間から10日で治ります。感染しても症状が出ないことが30~40%もあります。
髄膜炎を合併すると、頭痛と吐き気・嘔吐がでたりします。
難聴は、ムンプス脳炎の頻度と同じとされていたが、最近はそれより高く、数100人に1人の割合とも言われています。その多くは、片側性で、時に両側になり、重篤で回復が困難なものがあります。
思春期以降に感染すると睾丸炎(多くは、片側性)、卵巣炎などになる可能性があります。
鑑別となるのは、細菌による耳下腺炎があります。採血にて流行性耳下腺炎との鑑別が必要です。
RSウイルスの感染による病気です。
細気管支に感染を起こし、2歳以下、特に生後6カ月以下の乳幼児では重症になりやすい病気です。最初は鼻みずで始まることが多く、次第に喘息のような喘鳴が出現してきて呼吸困難になる事があります。
特に生後3カ月以下の赤ちゃんや基礎疾患を持った赤ちゃんでは注意が必要です。
治療は対症療法のみになります。
予防には、在胎35週以下の早産児などでは、抗RSウイルスヒト化モノクロナール抗体(シナジス)接種が可能で、推奨されています。
水痘ウィルスに感染後、約2~3週間で発病。熱は出たり出なかったりします。
赤い水疱を含んだ発疹がみられますが、時に赤い発疹だけの事があり、この場合は診断が困難にて翌日にも来てもらいます。発疹は2-3日でピークとなり、その後乾燥すると、黒いかさぶたが全身に混在するようになります。全てかさぶたになるまでに約1週間かかかり、水疱の引っかきキズに細菌が感染してとびひ状になると跡を残しやすいので皮膚を清潔に保つことが大切です。
妊婦は近づけないようにしてください。
百日咳菌が喉から感染して、約1週間後に起こります。
初めの1週間は普通のかぜとかわりませんが、次第に咳が強くなり顔が真っ赤になる様な激しく咳き込み、その後、吸う時に笛がなる様な咳き込み発作を繰りかえすようになります。最後に粘っこい痰を出す。咳こみ発作は約4~6週間続きますが、高熱が出ることは少ないです。
乳児では呼吸が一時とまることがあったり、まれに脳炎や脳症を合併することがあるので注意してください。
肺炎や中耳炎を併発すると高熱が出ることがあります。
A群β溶血性連鎖球菌(溶連菌)という細菌が喉に感染して、2~3日後に喉の痛み、発熱があり、喉が赤く腫れて、舌がイチゴのようになります。体に細かい赤い発疹が出てくる事があり、これで発見される事もあります。
3~4日間で症状は軽快しますが、薬(抗生剤)を約10~14日続けないと再発しやすく、治療を受けないと腎炎やリュウマチ熱を起こすこともあり注意が必要です。
伝染力が強く、家族内伝搬することがあるので要注意です。
エンテロウィルス属に属するコクサッキーウイルスA2~6、10型(夏かぜのウィルス)の感染によっておこります。
高熱が2~3日続き、喉の奥に小さな水ぶくれが出来、痛いので食べられなくなります。
ひどいときには水分も飲めなくなり、脱水症になることがあります。
脱水症状にご注意ください。
エンテロウィルス属に属するコクサッキーウイルスA16型、エンテロウイルス71型(夏かぜのウィルス)の感染によっておこる病気です。
手のひら、足の裏、口の中にちいさなみずぶくれができ、お尻やひざに出来ることもあります。
熱はないか、あっても微熱程度。口の中が痛くて食べられなくなることがあり、ときに髄膜炎を合併することがあるので、熱が続いたり、頭を痛がり、吐くときは診察を受けてください。
ヒトパルボウイルスB19型と言うウイルス感染によりおこります。
潜伏期は約2週間で発病します。
発疹の出る約1週間~10日前に、発熱、筋肉痛やのど痛、咳、鼻汁などのかぜの様症状がみられることがあります。
両側のほっぺから発疹が始まりりんごのように赤くなり、その後腕や太ももにも赤いまだらなレース様模様が出来きます。
妊婦が感染すると流産することがあリますので、近づけないようにしてください。
ウイルス性胃腸炎が主体で毎年秋から冬になると流行します。
この原因の多くは、ノロウィルスやロタウィルス、アデノウィルスなどのウィルス性のものです。
症状としては、突然の嘔吐で始まり、半日ほど遅れて白色性の下痢、発熱が起こります。
嘔吐、発熱は2~3日でおさまりますが、下痢はだんだん便が白くなり、便が白い間は、下痢が続きます。別名「白痢」とも言います。
便が黄色味を帯びて次第に茶色になると治ってきますが、約4~5日から1週間掛かります。
この病気で一番問題になるのが脱水です。嘔吐、下痢がひどく水分がしっかり取れないと脱水を起こします。まず、脱水にならならないように自宅でコントロールすることが大切です。
水分(お茶,アクアライト、OS-1など)をこまめに飲ませるようにしてください。
夏季に多いです。食べたものにより細菌が入り、菌が増殖して、菌の毒素によりその症状を呈します。食中毒の原因にもなります。
強い腹痛と下痢を伴い、便中に血液や粘液を混じる事があります。発熱を伴うこともあります。
原因菌としては有名なサルモネラ菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、病原性大腸菌(腸管出血性大腸菌であるO-157や腸管病原性大腸菌、腸管毒素性大腸菌など)、赤痢菌、などがあります。
カンピロバクター腸炎の頻度が一番多く、サルモネラ菌による腸炎は症状がきつく、難治性です。
O-157を代表とする腸管出血性大腸菌はその毒素によって腎障害などを起こし死亡することもあります
。 治療としては、下痢止めで便を止めることは禁忌で、抗生物質が有効です。手洗いと生ものを避けることが大切です。
単純ヘルペスというウィルスの初めての感染でおこります。
単純ヘルペス1型は顔面・口唇・口内などの皮膚に病変が見られます。
6ヶ月から3歳頃にかかりやすく、感染しても症状が出るのは10%くらいで、多くは知らないうちにかかっています。
高熱が続き、顔面に小水疱性発疹がでたり、口の中や舌に水疱ができます。口の中が痛いので食べられず、よだれが多くでるようになります。水分も取れないため脱水状態となることもあります。
単純ヘルペスウィルスに一度感染すると、一生、人の中に潜んで時々再発することがあります。(口唇の周囲に水疱状の湿疹として出ます。)
アデノウィルスの感染によっておこる病気です。
夏にプールを介して学童の間に流行するのでプール熱といわれているが、プールに入らなくてもうつります。高熱が4~5日間続き、のどの痛みが強く、眼が充血して結膜炎をおこし、目やにがでることがあります。
溶連菌感染症と間違われる事があります。
擦り傷や虫刺され、汗も、湿疹などによる傷に連鎖球菌や黄色ブドウ球菌が感染しておきます。
黄色の浸出液を伴う汚いかさぶたや水ぶくれができて、その傷を手でさわり、その手に付いた浸出液を他の皮膚にさわると他の場所に広がります。
夏に多く、薬(抗生剤)を飲まないと塗り薬だけでは治りにくい病気です。
4歳以下の子供に多く,原因が不明な全身の血管に炎症を起こす病気です。
以下の6つの主要症状のうち5つ以上見られると川崎病と診断します。
1. 5日以上続く高熱。
2. 手と足の先が赤くなって硬く腫れ(紅斑と硬性浮腫)、よくなってくると指の先から皮が向ける(膜様落屑)。
3. 体に赤い発疹が出る(不定形発疹)。
4. 目が赤くなる(両側眼球結膜の充血)。
5. 唇が赤くなり,イチゴ舌が出現し、口腔粘膜が充血する。
6. 首のリンパ節が腫れる。
ただし4つの症状しか認められなくても、経過中に心臓超音波または心血管造影で、心臓に血液を送っている冠動脈の炎症による冠動脈瘤(冠動脈のコブ)があれば診断してもいい事になっています。
留意する所見として、
1. 聴診・心電図・胸部レントゲン・心エコー・狭心症状など
2. 消化器症状
3. BCG接種部位の発赤・痂皮形成・小膿疱
4. WBC増加・赤沈亢進・CRP陽性などの炎症所見
5. 蛋白尿・尿沈査のWBC増加
などがあります。
マイコプラズマはM.Pneumoniaeによる感染症です。
好発年齢は5~30歳、特に5~9歳に多発。4年周期で流行があることで知られていますが、最近は必ずしもそうではないといわれています。潜伏期間は2~3週です。
症状は発熱と持続性の頻発する激しい咳こみが特徴で、咳こみは早朝、夜間就寝時に多いです。
治療はマクロライド系、テトラサイクリン系の抗生物質が有効で約1週間~10日で治癒します。
ウイルス感染が原因です。コクサッキーウイルス群(A2、4、7、9、10型、B2~5型)やエコーウイルス群(4、6、9、11、16、30型)、エンテロウイルス71がありますが、おたふくかぜによる髄膜炎も有名です。
夏に多く、発熱、頭痛、吐き気、嘔吐などの髄膜刺激症状があり診察時に首を曲げようとしても硬くて曲がらない(頂部硬直)が見られます。
予後は良好です。
治療は対症療法のみで、約10日で回復します。
細菌が組織内に侵入し、血液を介して髄膜に感染を起こした病気です。
起炎菌はインフルエンザ菌、肺炎球菌、B郡連鎖球菌、大腸菌が多く、最も多いインフルエンザ菌b型(Hib)はその中でも50%を占め、死亡したり、大きな後遺症を残したりしています。年齢は新生児から成人まであり、新生児期から乳幼児期の発症率が高く、1歳未満が52.9%、3歳までの乳幼児で86.1%を占めます。
髄膜刺激症状である発熱、頭痛、嘔吐があり、脳炎を合併すると意識障害などを呈し重篤になります。
現在生後2か月からHib(インフルエンザ菌b型)ワクチン、肺炎球菌ワクチンを接種することにより、90%近くの細菌性髄膜脳炎を予防できます。